マルチボディダイナミクス ~Multibody Dynamics~


極限環境において活動する探査機・ロボットの設計開発および運用において,実環境での事前検証や実験が困難となります.そこで,探査機の運動をコンピュータ上で解析することが有効であり,特に本研究室では,探査機が複数の剛体から構成されると仮定したマルチボディダイナミクスを解くことによって,実環境での探査機の運動をシミュレートしています.また,実際の探査環境を模擬した実験装置などを開発し,シミュレーション結果の妥当性評価,力学現象の解析にも取り組んでいます.


    正二十面体形状を有する展開型ロボットの開発と挙動解析
    小惑星の表面の様子や内部特性を知るためには, 惑星表面を移動しながら探査を行うロボットが必要です. 小惑星探査を行うロボットには, 宇宙へ運送しやすく, 微小重力環境で動作し, 省電力で駆動することが求められます. そこで本研究室では, 単駆動源で展開, 折り畳み動作可能な正二十面体型のロボットの開発, およびロボットの微小重力空間下での挙動解析を行っています.

    相似則に基づいた火星衛星探査機の着陸挙動における模型実験
    2024年打ち上げ予定のJAXAの火星衛星探査計画Martian Moons eXploration (MMX) では,探査機が衛星に着陸する際の安全確保や着陸後の挙動予測のため,探査機が着陸時に受ける衝撃力の推算が求められています.本研究では,火星衛星と地球の重力の違いを考慮した力学的な相似則に基づき,模型落下実験装置を開発しました.探査機模型が受けた衝撃力から,探査機実機が受ける衝撃力を,相似則により推算しています.

    過去の研究

    球型全方向観測ロボットの開発
    2012年,月周回衛星SELENEによって,月内部の溶岩チューブに繋がっていると考えられる 縦孔が発見されました.溶岩チューブは,将来の月での活動の拠点を設営するのに最適な環境で あると考えられており,そのために縦孔内部の調査は重要な課題となっています.そこで,本研究では,縦孔をはじめとした特殊な地形, 環境を想定した球体型の全方向観測ロボットの研究,開発に取り組んでいます.

    代替支援活動用ロボットに搭載するロボットハンド駆動システムの開発
    宇宙飛行士は宇宙船外にて機器の管理・組立などの作業を長時間にわたり行うため, 作業時間の削減や危険性回避を目的とした代替支援ロボットの導入が注目されています. 上述の作業を行うためには,対象物を高握力で把持し,任意の姿勢をとることができる ロボットハンドが必要となりますが, これらは大型で複雑な機構になりやすい等の課題があげられます. そこで,把持と操作を簡易な構造により実現することを主眼として, ロボットハンドの駆動システムの提案を行っています.

    土壌掘削時/岩盤掘削時のマニピュレータ制御
    従来のマニピュレータは,岩石を削る,あるいは砂を掘削するといったツール自体の 機能を実現することに特化していました. しかし,太陽光発電を主な電力源としている惑星探査機では, 使用できる電力が極めて限られているためロボットアームを低消費電力で運用する必要があります. そこで本研究では,ロボットアームによる高効率かつ低消費電力な土壌サンプリング法ならびに ドリル掘削時のエネルギ効率向上を目的とし,マニピュレータの制御法の検討を行っています.

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正二十面体展開型ロボット


落下試験装置


球型全方向観測ロボット


ロボットハンド駆動システム

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